プロジェクト背景
CanPlanはCanPlan.LLC(米国ロサンゼルス)のスタートアップ企業が提供する、癌患者と介護者の闘病生活をサポートするためのCancer Planner(闘病日記/プランナー)です。
これは通常の日記とは大きく異なるもので、闘病患者の旅路(闘病)を計画・追跡、および分析、コントロールし続けることができます。この一冊によって闘病者が自身のケアをできるようになるだけでなく、プランナー、オーガナイザー、動機付け役、コーチ、セラピストなど患者をサポートする全員が患者の状態を知ることができ、それによってより良いケアを闘病者に提供することができます。
CanPlan.LLCは闘病者や一緒に闘う人々に寄り添った、より良い使い心地への改良を強く望むと同時に、より多くの人々にサービスを届けたいと考えていました。

ソリューション
プランナーのアップグレードとして当初始まったプロジェクトでしたが、現状の把握と課題の抽出を行ったところ、リブランディングを実施することが望ましいという判断になりました。
調査の中でCanPlanユーザーの9割が女性であること、日記やプランナーといった市場から見てもプランナーの使用率は男性よりも女性が高くなっていることから、より女性向けにポジショニングを見直し、強みを活かす方向にスイッチ。
168シートからなる計336ページのプランナーを1から全て見直し、クライアントとともにコンテンツの再編集も含めてリデザインを開始しました。

プランナーコンテンツ

デイリートラッカー・マンスリートラッカー・医師予約トラッカー・サポート連絡先情報・病歴、投薬リスト・治療/検査/血球数トラッカー・がん闘病に役立つ情報とリソース(例:医師と適切なコミュニケーションを促進させる質問の方法、化学療法、がんの食事療法など)・一日の終わりのスコア化による心と体のためのポジティブエクササイズメモとジャーナリング用のページなど)


まず最初に指摘したのはプランナーとしての読みにくさ、書きにくさでした。このプランナーは闘病患者の旅路(闘病)を計画・追跡、および分析、コントロールを使命としていますが、毎日書き続けるということを大前提としています。
見直しにあたりまずはヒューリスティックな分析、既存市場の日記やノートの検証を行った後に、実際に数名の患者にユーザーフィードバックをもらったり、私たち自らも記入テストを繰り返すことで体や心が弱っている闘病者がいかにストレスなく自然に書きこめるのかを各所において細かく調整を施しました。
今後の展望を考慮している段階で、コスト面の問題や現代におけるアプリユーザーの増加に伴いモバイルアプリでのローンチ案もあがりましたが、「さっと書ける」「手書きすることで記憶に残る」「パッとすぐに見られる」「書くこと/描き続ける毎日が楽しいと思う」という紙ベースの手帳のメリットをあげるユーザーが多くいたこと、また紙に書くという行為が闘病者の心をなによりも落ち着かせ、自身と向き合うことになるといった体験を重要視し、紙ベースでのプランナー継続を決定しました。
また全体の見直しにあたり、ずれのあったアイデンティティと価値を今後正しく伝達させるために古さが感じられていたロゴをリフレッシュするなどの施策も行いました。

結果
結果として、ユーザーの90%が高い評価(通常評価5%・低評価5%)を示し、商品レビューについても良質なレビューを継続的に獲得し、多くの反響を得ています。
また各国メディアへの露出が増加したことで認知度は徐々に広がりをみせ、現在ではアメリカ本土のみならずカナダでの提供も開始されました。
Client
CanPlan.LLC
Industry
Health/Hospitality
Discipline
Brand Identity, Editorial Design
Year
2019
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